製品情報

高調波抑制対策技術指針について

1.ガイドライン制定(平成6年)の経緯

高調波問題への対応として、「電力利用基盤強化懇親会(資源エネルギ-庁長官の私的諮問委員会、昭和61年7月~昭和62年5月)」において、高調波環境目標レベル(総合電圧ひずみ率が6.6kV配電系統で5%、特別高圧系統で3%)が提示されました。また、昭和62年11月に設置された「高調波対策専門委員会(社団法人 電気協同研究会)」において、将来にわたって高調波環境目標レベル以下を維持するための施策の調査・研究がなされ、この結果が電気協同研究 第46巻第2号(平成2年6月)「電力系統における高調波とその対策」にまとめられました。

2.指針制定(平成7年)の経緯

ガイドラインには高調波抑制対策の基本的事項が示されていますが、高調波抑制対策を円滑に進めていくには実務面の具体的な運用を整備する必要がありました。ガイドラインを解説、補完する民間技術指針を作成するため、「高調波抑制対策特別調査委員会」に「指針作成WG」を設置して次の考えに基づき検討し、平成7年に本指針を制定するに至りました。内容の基本的な考え方は、対象となる高調波発生機器からの発生量を積算し、それが下表のように受電電圧毎に決まる契約電力1kWあたりの閾値を超えているかどうかで対策の要否を判断するものです。

3.今回の指針改訂(令和5年)

本指針は、第2回改定(平成30年)以降の指針に関する改定要望について検討し、見直しされたものです。
主な見直し内容は以下のとおりです。

 ①第1ステップの判定フローにおいて、高調波発生機器比率に関する条件の追加
 ②第1ステップの判定フローについて、特別高圧受電も対象であることの明確化
 ③現行規定の「進相コンデンサが全て直列リアクトル付」は「6%直列リアクトル付」であり、
  「13%直列リアクトル付」は該当しないことの明確化
 ④直列リアクトルの容量選定にあたっては、JIS C4902-2を参照する旨を記載
 ⑤電力系統の高調波電圧含有率を用いた計算は、進相コンデンサのみに適用することを明確化
 ⑥多パルス化を実施した結果、5次及び7次では上限値を下回るが、11次以上が上限値を上回る
  場合は、高調波対策の要否を一般送配電事業者と協議することを明確化
 ⑦流出電流より流入電流の方が大きくなる場合、算出結果をマイナスのまま取り扱うことを計算例
  により表現
 ⑧多パルス化の計算例の追加

4.判定フロー図

技術指針は第1ステップ(等価容量による判定)と第2ステップ(高調波流出電流による判定)があり、それぞれのフロー図は以下のとおりです。

第1ステップ(等価容量による判定) 判定フロー図

高調波判定フロー図(等価容量による判定)

 

表201-2-1 回路種別毎の換算係数(抜粋)

回路
分類
回路種別 換算係数 Κi 主な利用例
三相ブリッジ 6パルス変換装置 K11=1 ・無停電電源装置
 (サイリスタ方式)
・直流電鉄変電所
・電気化学
・その他一般
12パルス変換装置 K12=0.5
24パルス変換装置 K13=0.25
三相ブリッジ
(コンデンサ平滑)
6パルス変換装置/リアクトルなし K31=3.4 ・汎用インバータ
・エレベータ
・エスカレータ
・冷凍空調機
・その他一般
6パルス変換装置/リアクトルあり(交流側) K32=1.8
6パルス変換装置/リアクトルあり(直流側) K33=1.8
6パルス変換装置/リアクトルあり(交・直流側) K34=1.4

(注)フロー図および表は「高調波抑制対策技術指針JEAG9702-2023」からの抜粋です。

 

第2ステップ(高調波流出電流による判定) 判定フロー図

高調波判定フロー図(高調波流出電流による判定)

(注)フロー図は「高調波抑制対策技術指針JEAG9702-2018」からの抜粋です。

 

表202-2-1 契約電力相当値1kW当たりの高調波流出電流上限値(mA/kW)

契約電力相当値1kW当たりの高調波流出電流上限値

(注)表は「高調波抑制対策技術指針JEAG9702-2018」からの抜粋です。

 

表202-3-1 ビル設備用インバータ等の最大稼働率(設備種類別)

ビル設備用インバータ等の最大稼働率(設備種類別)

(注)表は「高調波抑制対策技術指針JEAG9702-2018」からの抜粋です。

 

表202-3-3 ビルの規模による補正率β(標準値)

ビルの規模による補正率β(標準値)

(注)表は「高調波抑制対策技術指針JEAG9702-2018」からの抜粋です。